敏感肌になる原因

敏感肌とは

顔に化粧品を塗ったあとや洗顔した後にチクチクしたりヒリヒリしたり、つっぱったり、といったような刺激感を感じながら、実際には顔の皮膚に目に見える症状がみられないものを一般に敏感肌と呼んでいます。
敏感肌とは、医学的に定義された言葉ではありませんが、下記のような状態です。

  • 様々な刺激に反応しやすい
  • 敏感肌体質といえる何らかの素因をもっている
  • 肌荒れや湿疹、かぶれ、ニキビ、フケなどを生じやすい
  • 症状は肌の違和感、乾燥、かさつきなどから皮膚炎など多岐にわたっている
  • 脂漏性皮膚炎や成人ざ瘡、接触皮膚炎、光線過敏症、アトピー性皮膚炎なども含む
  • 体調や季節的要因で一時的に生じる「不安定肌」と呼べるケースも含む

皮膚のバリア機能の働き

前述のように(お肌の健康を維持する基本を参照)皮膚のバリア機能は、主として、皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、セラミド(角質細胞間脂質)によって形成されていて、特にセラミドを中心とする角質細胞間脂質が非常に重要な要素となっています。
バリア機能がしっかりと正常であれば、水分の喪失は妨げられ、また外部から微生物や化学物質など刺激となる物質が侵入してくることを防いでいます。

皮膚のバリア機能が壊れたら

乾燥や洗浄行為、摩擦やストレスなど様々な要因でバリア機能は壊れます。バリア機能が壊れると、水分の喪失だけでなく、微生物や化学物質などが外界から肌内部に侵入してきます。そして様々な刺激を表皮の細胞に与え、その結果下記のようなことが起こります。

敏感肌
炎症性サイトカインの分泌
バリア機能が壊れて外界から微生物や化学物質などが侵入することによって、表皮の細胞に免疫的な刺激を与えます。そして細胞から様々な炎症性サイトカインが分泌されます。炎症性サイトカインは、かゆみを誘発したり、炎症を起こしたり、またそれによって肌荒れを引き起こします。

神経線維の伸長
かゆみや痛みは皮膚の神経線維(C線維)で感じます(皮膚の構造と機能 ~③感覚機能~参照)。通常の神経線維は真皮内までしか伸びていません。しかし、バリア機能が壊れて様々な刺激が表皮の細胞に入ることによって、表皮の細胞から様々な炎症性サイトカインや神経成長因子(NGF)などが分泌されます。これによって神経線維は刺激されて、ぐんぐん伸長し、表皮の中まで伸びてきます。そして表皮の表層近くまで来ますので、かゆみや痛みなど、非常に感じやすくなってしまいます。これが敏感肌の原因のひとつとなっています。

かゆみの閾値の低下
かゆみを伝える物質としては、ヒスタミンをはじめ、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン8(IL-8)、サブスタンスP、腫瘍壊死因子(TNF-α)、プロスタグランジン(PG)、などが知られています。
ヒスタミンは神経のC線維をかゆみの信号として伝達し、直接かゆみに関係していますが、IL-1やIL-8、TNF-αなどは間接的にかゆみを悪化、増幅させる因子として働いています。
またプロスタグランジンは、主には痛みに関係している物質ですが、一方で「かゆみの閾値を下げる」作用があります。つまり、かゆみを感じやすくさせる物質です。
バリア機能が壊れて様々な物質がお肌の内部に侵入することで、このような物質が分泌され、かゆみの閾値が下がり、結果的にかゆみを感じやすいお肌になってしまうのです。

アレルギーになるリスクが高まる
バリア機能が壊れると、様々な物質がお肌の内部に入りやすくなりますが、その中にはアレルギーを起こしやすい物質、アレルゲンが含まれている場合があります。アレルゲンは、皮膚内部に侵入し、免疫系の細胞と出会うことで異物として認識され(感作するといいます)、免疫反応によって排除されるようになります。その際に炎症などのアレルギー反応になってしまいます。
このような感作は、食品として消化器官によって吸収されて感作されるよりも、粘膜やバリア機能の壊れた皮膚から侵入するほうが感作されやすいという報告もあるようです。
化学合成した物質の中にはアレルゲンとなるハプテンとして作用する物質がありますが、実は天然物もまたアレルゲンとなりやすいので注意が必要です。オーガニックの化粧品など流行していますが、植物由来のエキスなどには様々な物質が入っており、アレルゲンとなりうるものや、サイトカインの分泌を促すものなども数多く含まれている可能性があります。植物由来というとお肌にやさしいイメージですが、実際にはイメージと異なり、注意が必要です。

敏感肌になりにくいお肌にするには

敏感肌になる主な原因は上に述べたようなバリア機能の低下によるものです。ですから、できるだけバリア機能が破壊されないように、摩擦や掻くなどの物理的な行為を避け、また洗いすぎに注意することが必要です。
洗いすぎを避けるには、お顔の場合、クレンジング(メイク落とし)と洗顔を行うダブル洗顔はできるだけ避け、洗うという行為を1度で済ませることをお勧めします。そのためには、ミネラルメイクアップのような洗顔で落とせるメイクを使用することも1案ですし、またメイク落としと洗顔を合わせたような洗顔料(もしくはクレンジング)を使用するのも1案です。
また使用する化粧品もできるだけシンプルな成分のものを選ぶことをお勧めします。だからといってNMFやセラミドなど必要な成分も入っていないような陳腐な化粧品はお勧めしませんが、植物性の成分ならお肌にやさしいと勘違いをして、植物エキスの名前がずらっと数多く並んでいるような化粧品を選ぶようなことは避けるべきかもしれません。