タイトル:肌の「レンガ」と「モルタル」ーバリア機能とは何か
「肌のバリア機能」という言葉、スキンケアの説明でよく目にしますよね。でも、それが肌の中でどんな構造になっているのかまではあまり知られていません。今回は、肌バリアを「レンガとモルタル」に例えながら、その正体とビタミンDとの関わりをやさしく解説していきます。

今回の基本
肌の一番外側にある「角質層(かくしつそう)」は、レンガ(細胞)とモルタル(細胞間脂質)でできた壁のような構造をしています。この壁が、水分の蒸発と外からの刺激の侵入を防いでくれています。ビタミンDは、この壁の「材料づくり」に関わっていると考えられています。(※レンガとモルタルというのは、例えなので、本当にレンガとモルタルでできているわけではありません。)
肌の「壁」はレンガとモルタルでできている
肌の一番外側を守っているのが「角質層」です。厚さはわずか0.02mm(ラップ1枚ほど)。とても薄いのに、私たちの体を外の世界から守る大切な役割を担っています。
この角質層の構造を、よくレンガの壁にたとえます。
■ レンガ=角質細胞(かくしつさいぼう)
肌の細胞が成熟し、平たくなって積み重なったもの。壁でいう「レンガ」の部分です。
■ モルタル=細胞間脂質(さいぼうかんししつ)
レンガとレンガのすき間を埋める脂質のこと。主成分はセラミド・コレステロール・脂肪酸です。
レンガだけを積んでも、すき間だらけでは壁になりません。すき間をモルタルがしっかり埋めることで、はじめて隙間のない丈夫な壁になります。肌も同じで、細胞と脂質の両方がそろってこそ、健やかなバリアが保たれると考えられています。
バリアがくずれると、何が起こるの?
この「レンガとモルタル」の構造がくずれると、壁にすき間ができた状態になります。すると、肌では次のようなことが起こりやすくなります。
● 水分が逃げやすくなる
肌の内側から水分が蒸発していく現象を「経皮水分喪失(けいひすいぶんそうしつ=肌から水分が逃げること)」と呼びます。これが増えると乾燥につながります。
● 刺激が入りやすくなる
花粉やほこり、化学物質やアレルゲンなどの刺激物が肌の奥へ侵入しやすくなり、赤みやかゆみの原因になることがあります。
● 肌が敏感にかたむく
普段は平気なものにも反応しやすくなり、いわゆる「敏感肌」の状態に近づくと考えられています。
つまり、乾燥も敏感も、大元は同じ「壁のすき間」から始まっていることが多いのです。
ビタミンDは「材料づくり」に関わっている
では、ビタミンDはこの壁とどう関係しているのでしょうか。ポイントは、ビタミンDがレンガとモルタルの両方の材料づくりに関わっているという点です。
● モルタル(細胞間脂質)側
モルタルの主成分である「セラミド」をつくる働きを助けると考えられています。
● レンガ(細胞)側
レンガの形をきれいに整える「フィラグリン」というタンパク質づくりにも関わっているとされています。
多くの保湿成分が「すき間を外から埋める」アプローチなのに対し、ビタミンDは肌が自分で壁の材料をつくる力そのものに関わっているのが特徴的、と考えられています。セラミドとフィラグリン、それぞれの詳しいお話は次回以降に解説しますね。

次回予告
第3回は、レンガの形を整える「フィラグリン」というタンパク質を取り上げます。保湿の源ともいえる縁の下の力持ち。ビタミンDがそのスイッチにどう関わっているのか、やさしくお話しします。


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