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ビタミンDは骨の栄養素だけではない⁉

ビタミンDは「骨の栄養素」だけじゃない皮膚科学

第1回:ビタミンDは「骨の栄養素」だけじゃない

「ビタミンD」と聞くと、多くの方が「骨を丈夫にする栄養素」を思い浮かべるのではないでしょうか。たしかにそれは大切な働きのひとつです。でも実は、ビタミンDはお肌にとっても、とても大事な役割を担っていると考えられています。

今回から全13回にわたって、「ビタミンDと肌の科学」をテーマに、敏感肌や乾燥肌に悩む方へ向けてやさしくお話ししていきます。第1回は、まず全体像をつかんでいきましょう。

そもそも、ビタミンDってどんな栄養素?

本題に入る前に、「ビタミンDとは何か」をかんたんにおさらいしておきましょう。

ビタミンDは、体にとって欠かせない脂溶性ビタミン(油に溶けるビタミン)の仲間です。ほかのビタミンと少しちがうユニークな特徴があって、食べ物からとるだけでなく、日光を浴びることで体の中(肌)でも作られるのです。「太陽のビタミン」と呼ばれることもあります。

ビタミンDのきほん◆ どこから得られる?
日光浴(肌での合成)と、食事(鮭・いわしなどの魚、きのこ類、卵など)の2つのルートがあります。
◆ 2つのタイプ
動物性の「ビタミンD₃」と、植物性の「ビタミンD₂」があります。
◆ よく知られた働き
カルシウムの吸収を助け、骨や歯の健康を支える栄養素として知られています。

このように「骨の栄養素」というイメージが定着していますが、近年の研究では、それ以外のさまざまな場面でも活躍していることが分かってきました。その代表が、今回のテーマである「肌」なのです。

医学博士
医学博士
骨だけじゃないんです。ビタミンDは、肌の「うるおい」「守る力」「肌あれのしにくさ」にも関わっていると考えられているんですよ。

肌は自分でビタミンDを作っている

先ほど「肌でビタミンDが作られる」とお伝えしましたが、もう少し具体的に見てみましょう。

紫外線(UVB)が肌に当たると、肌の中にある材料がビタミンDのもとに変わります。それが肝臓・腎臓を経て「活性型」と呼ばれる働く形になり、肌の細胞に作用していく——というのが大まかな流れです。

おもしろいのは、肌の主役である「ケラチノサイト(表皮の細胞)」自身が、ビタミンDを受け取るための受け皿(受容体)を持っていること。つまり肌は、ビタミンDをしっかり「受け止める」しくみを最初から備えているのです。

肌でのビタミンDの「4つの働き」

では、ビタミンDは肌で具体的にどんな働きをしていると考えられているのでしょうか。大きく4つに整理できます。

ビタミンDの肌での4大作用① うるおいを支える
「フィラグリン」という、保湿に欠かせない成分づくりを後押しすると考えられています。
② 水分の蒸発を防ぐ
肌のうるおいを守る「セラミド」などの脂質バランスに関わります。
③ 肌を守る力をサポート
外からの刺激に対する、肌本来の防御に関わると考えられています。
④ 肌あれを起こしにくくする
肌の中の炎症のバランスを整える方向に働くとされています。

注目したいのは、ビタミンDが「うるおい」「守り」「肌あれのしにくさ」という3つの層すべてに関わっているという点です。多くの保湿成分が「うるおい」だけに働くのに対して、ビタミンDは複数の層にまたがって関わると考えられています。これは、ほかの成分にはあまり見られない特徴です。

現代人は、ビタミンDが足りていないかも

ここで気になるのが、「では私たちは十分にビタミンDを作れているの?」ということ。残念ながら、現代の生活では不足しやすいと言われています。

☑ 室内で過ごす時間が長い
☑ 日焼け止めを毎日使う
☑ 食生活の変化で魚などが減っている

こうした要因が重なり、知らないうちにビタミンDが足りなくなっている方は少なくないと考えられています。とくに敏感肌・乾燥肌でお悩みの方にとっては、気にかけておきたいテーマです。

医学博士
医学博士
「肌が乾く」「ゆらぎやすい」と感じる背景に、ビタミンDが関わっているかもしれない——そんな視点で、これから一緒に見ていきましょう。

次回予告

次回は、肌の「守る力」の正体であるバリア機能について。よく「レンガとモルタル」にたとえられるこの構造を、やさしくひもといていきます。シェルシュールが大切にしているセラミドの話にもつながる、大事な回です。

肌の奥で静かに働くビタミンD。その物語を、これから少しずつお届けしていきます。