酒さ(しゅさ)とレンサ球菌(連鎖球菌)の関係について、新しい研究結果が注目されています。

酒さ患者の皮膚では、健康な皮膚に比べて特定の細菌のバランスが崩れており、その中でレンサ球菌の割合が増加していることが確認された、という研究結果が発表されました。
このレンサ球菌に関する研究結果の概要と、酒さの治療に与える意義を医学博士が解説します。そして、皮膚常在菌叢(マイクロバイオーム)の乱れ(ディスバイオーシス)に関する、超敏感肌化粧品シェルシュールの取組をご紹介します。
酒さ患者の皮膚「レンサ球菌」が多い
▼ 酒さ患者の皮膚では、健常者と比べてレンサ球菌(連鎖球菌)の割合が多いことが判明。
▼ このことから、皮膚常在菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が酒さの慢性化に関与している可能性が示唆された。
≫酒さの慢性化に皮膚常在菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が関与 ~酒さ患者の皮膚ではレンサ球菌の割合が多いことを発見~ | 日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース
レンサ球菌は酒さの原因なのか?
これまでの酒さの病態生理については、血管の異常、免疫システムの過剰な反応、神経系の関与などが複合的に関連していると考えられてきました。
また、ニキビダニや表皮ブドウ球菌などの特定の皮膚常在菌も関与が示唆されています。
研究レベルでは、酒さの患者の皮膚や腸からレンサ球菌が検出されたという報告はありますが、それが酒さの「原因」であると断定するには至っていません。

健康な人の皮膚にもレンサ球菌は存在するためです。
因果関係は証明されてないものの…
現在のところ、酒さは単一の原因で発症するのではなく、遺伝的素因、免疫系の異常、紫外線、ニキビダニ、神経血管系の調節異常、ストレス、食生活など、様々な要因が複雑に絡み合って発症する「多因子性疾患」と考えられています。
レンサ球菌は、これら多くの要因の中の引き金や、悪化因子の一つである可能性が探られている段階です。
今回のレンサ球菌の関与に関する発見は、酒さの病態解明や、より効果的な治療法の開発につながる可能性を秘めています。

皮膚のマイクロバイオーム(常在菌叢)のバランスを整えるアプローチが、今後の酒さ治療において重要になるかもしれません。DSRでは常在菌のバランスに着目したアプローチを始めています。

ところで、マイクロバイオームって何ですか?
マイクロバイオーム(常在菌叢)とは
私たちの皮膚には、約1兆個もの常在菌が生息しており、それらがバランスを取り合うことで、皮膚のマイクロバイオーム(常在菌叢)を形成しています。
この皮膚の上の常在菌のバランスが、皮膚のバリア機能や健康状態を左右します。
皮膚マイクロバイオームを構成する主な菌
善玉菌 | 日和見菌 | 悪玉菌 |
表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis) | アクネ菌 (Propionibacterium acnes) | マラセチアファーファー (Malassezia furfur) |
レンサ球菌 (Propionibacterium acnes) | 黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) |
*これ以外にも沢山の常在菌が存在します。
善玉菌(美肌菌)
美肌菌とも呼ばれる代表的な善玉菌。汗や皮脂をエサにして、脂肪酸やグリセリンを生成します。
- 肌を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ
- 保湿成分(グリセリン)で潤いをキープ
- 抗菌ペプチドを作り、黄色ブドウ球菌などの悪玉菌を抑制
日和見菌
肌の状態によって善玉菌としても悪玉菌としても働く菌のことです。
代表的なアクネ菌はニキビの原因菌として知られていますが、通常は肌を守る役割もあります。酸素を嫌い、毛穴の奥に生息しています。
- 皮脂を分解して脂肪酸を生成し、肌を弱酸性に保つ
- 過剰に増えると炎症を起こし、ニキビの原因に

レンサ球菌も日和見菌の一つで様々な種類があり、中には感染症を引き起こすものもあります。
悪玉菌
病原性が高く、肌トラブルの原因になる菌。健康な肌では問題ないのですが、肌がアルカリ性に傾くと増殖します。
- 炎症やかゆみ、化膿などを引き起こす
- 傷口や乾燥した肌で悪化しやすい

悪玉菌としては、毛包炎、アトピー性皮膚炎などの原因となる「黄色ブドウ球菌」が有名ですね。

脂漏性皮膚炎には悪玉菌の「マラセチアファーファー」も関わっているとされ、研究が進んでいるので、注目しています。

ファーファーって、なんかふわふわに洗ってくれる(笑)いい感じのイメージなんだけど、悪玉なのね。

私も脳内に、くまのぬいぐるみの洗剤が浮かんだわ。
マイクロバイオームを整えるエキス!?
クロレラエキスを配合しています

シェルシュールでは、マイクロバイオームを整える成分として、一部の保湿ジェルに「クロレラエキス」を配合しています。
化粧品に配合されたクロレラエキスは、善玉菌(美肌菌)のエサとなることで、その働きを助ける効果が期待されています。
善玉菌の選択的増殖
クロレラエキスに含まれるアミノ酸や糖類、ビタミン、ミネラルなどは、善玉菌である「表皮ブドウ球菌」にとって良質な栄養源となります。
一方で、悪玉菌である「黄色ブドウ球菌」の餌になりにくいために増殖させにくい、というデータが化粧品原料メーカーなどから報告されています。

クロレラエキスは悪い菌を殺すのではなく、良い菌を育てる、というアプローチで、肌本来の力を引き出すことを目指す成分と言えます。
クロレラエキスで期待される効果
- 善玉菌が増えることで、皮膚のバリア機能が向上する。
- 抗菌ペプチド産生を促すことによる抗炎症効果(
抗炎症効果による透明感アップ、赤みの減少) - EGF作用のような細胞再生効果(肌密度アップ)
- 皮脂抑制とコメド抑制効果
酒さの方へのスキンケアアドバイスはこちらから↓

酒さとレンサ球菌の研究結果:まとめ
酒さ患者の皮膚では、健常者と比べてレンサ球菌の割合が多いという研究結果が発表されました。
レンサ球菌が酒さ「原因」であると断定するには至っていませんが、皮膚常在菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が酒さの慢性化に関与している可能性が示唆されました。
これは、酒さの病態解明や、より効果的な治療法の開発につながる可能性があります。

酒さや脂漏性皮膚炎のご愛用者の方が多いシェルシュールでは、最新の研究にもアンテナを張りながら、皮膚のマイクロバイオーム(微生物叢)のバランスを整えるアプローチを研究して参ります。
スキンケアだけでなく情報発信でも、酒さでお悩みの方をサポートして参ります!

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