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「天然」ヒト型セラミドを導入しました:3種のセラミドと「天然・合成」の違い

お知らせ

こんにちは、ヒト型セラミド化粧品DSRの高岡です。

従来はヒト型セラミドは合成品しかなかったのですが、天然由来のヒト型セラミドが登場してきました。

こちらは大変高価で、また配合が技術的に難しいため、配合の検討に時間を要していましたが、2022年11月現在、シェルシュールでセラミドを配合している化粧品のほとんどに配合することができました。

*この記事は、過去に公開した記事の情報をアップデートしたものです。

セラミドとは~お肌のバリア機能おさらい~

そもそもセラミドとは何でしょう? とても大切な成分なのでおさらいをしましょう。

私たちの体の一番外側には皮膚があり、体を守っています。

その働きは、乾燥や外部からの化学物質や微生物などの侵入から身体を守るバリアの働きや、免疫のセンサーの働き、物理的なクッションの働きなど様々な機能をもっています。

お肌のバリア機能を担うセラミド

特にバリアとしての機能は重要で「バリア機能」と呼ばれています。

このバリア機能を担っているものは、角質層の角質細胞間脂質天然保湿因子、そして皮膚表面に分泌される皮脂です。

その中でも角質細胞間脂質は最も重要な要素で、ラメラ構造と呼ばれる脂質二重層が何重にも重なった層状の構造をしていて、水分の喪失を防ぐだけでなく、外界からの微生物や化学物質などの侵入を防いでいます。

ラメラ構造の図

バリア機能の低下とその原因

このバリア機能が損なわれると水分を喪失して乾燥するだけでなく、外界から微生物や化学物質など様々な刺激となるものが侵入してくるため、皮膚の免疫機能を刺激して、炎症や肌荒れ、ニキビなど様々なトラブルを引き起こす原因となります。

そのとても重要な角質細胞間脂質の約50%を占めるのがセラミドと呼ばれる脂質なのです。

セラミドは日常の洗顔で失われがちです。また掻いたり摩擦によっても失われます。

加齢によっても減少し、50歳代では10代の約50%ほどになってしまいます

加齢によってセラミドが減少

またアトピーなどの皮膚疾患でもセラミドが不足してバリア機能不全になっていることが知られています。

アトピーでセラミドが減少

※参考文献:Imokawa G., et al. J Invest Dermatol 96, 523, 1991より改変

セラミドの種類

セラミドは基本的にはスフィンゴイド塩基と脂肪酸が結合した化学構造をしています。

セラミドには様々な種類が知られています。

ヒト型セラミド

ヒトの角質層にあるバリア機能として重要な角質細胞間脂質の約50%を占めるセラミドは、ヒト型セラミドと呼ばれており、バリア機能にはこのヒト型セラミドの構造が重要です。

また、ヒト型セラミドを皮膚に塗布することでバリア機能が回復することが報告されていますが、それには他の細胞間脂質であるコレステロールと脂肪酸も一緒に配合しなければ効果が得られないという報告もあります。

糖セラミド(グリコシルセラミド)

セラミドにグルコースなどの糖が結合したものを糖セラミド(グリコシルセラミド)と呼びます。

糖セラミドは角質層のセラミドの素となる成分(前駆物質)で、糖が取れてセラミドに変化し角質層でラメラを形成します。

しかし、バリア機能を再構成するためにその糖セラミドを外部からお肌に塗ると、うまくバリア(ラメラ構造)が形成されなかったという論文があります。

 

角質細胞間脂質の組成

疑似セラミド

一方、セラミドの構造を似せて合成されたセラミド類似物質は疑似セラミドと呼ばれています。

安価に提供されていますが、保湿機能を高めるなど化粧品に有用であることは確かなようです。

 

以上、3種類のセラミドをご紹介しましたが、バリア機能の回復には、ヒト型セラミドが最も適している(コレステロールと脂肪酸も一緒に配合)と考えられます。

なお、フィトスフィンゴシンのようなスフィンゴイド塩基(セラミドの構成要素です)はセラミドの合成を促進するのではないかと言われています。

ヒト型セラミドの「天然」と「合成」はどう違う?

従来のヒト型セラミドは化学的に合成されたものです。

スフィンゴイド塩基は酵母によって作られたフィトスフィンゴシンを用い、それに植物由来の脂肪酸を結合させる方法で合成されています(セラミドEOP(1)、NP(3),AP(6II)。

また、セラミドNG(2)とAG(5)は植物由来の脂肪酸から全部合成されています。

一方、天然のヒト型セラミド醤油麹由来のセラミドです。ヒトのセラミドと同じ構造をしています(セラミドNP(3),AP(6II))。

合成のセラミドは構成されている脂肪酸の炭素数が18くらいのものが中心ですが、醤油麹由来の天然ヒト型セラミドは炭素数は22以上が中心となっています。

この炭素数が長いほうがバリア機能が高く、効果的なバリア機能の修復が期待できます。

そのため、天然のヒト型セラミドのほうがバリア修復の効果が高いと考えられます。

ヒト型天然セラミド配合の商品

バリア修復こそ敏感肌スキンケアの大切なポイントですので、合成のヒト型セラミド*を、一部ヒト型天然セラミド*に置き換え、現在は合成と天然を併用しています。

なお、合成と天然を併用しているのには、理由があります。

天然ヒト型セラミド*は、現在2種類**しかないのですが、できるだけお肌の状態に近くなるよう、多くの種類のヒト型セラミド*を配合することが保湿バリア機能を高めることに重要だと考えておりますので、合成タイプも併用しています。

2023年3月現在
以下の製品は、ヒト型天然セラミド*を配合しています
・モイスチャーマトリックス全て(シェルシュール)
・NMFモイスチャライザーB(シェルシュール)
・エッセンシャルモイスチャライザーBX(シェルシュール)
・ベビーマトリックスF(シェルシュール)
・ボディケアマトリックスBM(シェルシュール)
・モイストバリアジェルSD(シェルシュール)
・モイストバリアクリームLX(シェルシュール)
・アイクリームS(シェルシュール)
・デュアルグロウセラム(ノーブルヒル)

敏感肌、乾燥肌のスキンケアのお役に立てると、自信を持ってヒト型天然セラミド*を配合しました。

なお、ヒト型天然セラミドの置き換えに当たって、成分の表示名称、トータルのセラミド*配合量等に変わりはなく、名称や商品番号、ラベルも変更はありません。

*保湿成分
**セラミドNP(3),AP(6II)