
化粧水はしっかり叩き込んで、肌の奥まで浸透させましょう!
美容雑誌やテレビで、一度はこんなフレーズを見聞きしたことがあるのではないでしょうか?パンパンとリズミカルに肌を叩くパッティングは、なんだかスキンケアを「頑張っている」感じがして、習慣にしている方も多いかもしれません。

それ、肌にとっては逆効果かも
この記事では、多くの人が信じている「化粧水のパッティング」の真偽を皮膚科学的な視点から解説し、本当に肌が喜ぶ正しいスキンケア方法をご紹介します。

医学博士の私が監修しています。シワ・シミ・肝斑を気にされている方には是非読んで頂きたいです。
【結論】「叩くと浸透が良くなる」は迷信です
早速結論からお伝えすると、「化粧水を叩き込むと浸透が良くなる」という説に科学的根拠はなく、残念ながらこれは迷信です。
それどころか、やり方によっては肌にダメージを与え、乾燥や肌荒れ、さらにはシミやシワといった肌トラブルの原因にさえなりかねません。
なぜ「浸透が良くなった」と感じるのか?
では、なぜパッティングをすると「肌に浸透した」と感じるのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
血行促進
肌を叩く刺激によって毛細血管が刺激され、一時的に血行が良くなります。肌がポカポカと温まることで、化粧水がなじんだように感じられます。

パッティングすれば確かに血行やリンパの流れも多少良くなるんだけどね!
末端の血管やリンパをたたくより、おおもとの太いリンパや血管付近をマッサージしたほうが流れが良くなるし、お肌へのダメージがないよ。
- 水分の蒸発
パッティングの風圧や摩擦熱で、肌表面の化粧水が蒸発しやすくなります。肌から水分がなくなったことを「浸透した」と勘違いしている可能性があります。

パッティングしてお肌表面が冷たくなってスース―しているということは、少なからず水分が蒸発している証拠。
手で塗ってももちろん化粧品の水分は蒸発するんだけど、パッティングのほうがより蒸発するよ!
心理的な満足感
「パン、パン」という音や、肌を叩くという行為そのものが「しっかりケアできている」という満足感や思い込みにつながり、「浸透した」と感じさせてしまうのです。

私、スキンケアしてる~♪って満足感を感じることも大切!だけど、それが本当にお肌にとって良いことなのか、皮膚科学的に、冷静に検証することはもっと大切よ。
パッティングが肌に与えるデメリット
良かれと思って続けているパッティングですが、肌にとっては大きな負担です。
- バリア機能の低下
肌の表面にある「角質層」は、外部刺激から肌を守るバリアの役割を担っています。パッティングの物理的な刺激は、このデリケートな角質層を傷つけ、バリア機能を低下させてしまいます。

角質層は厚みがたった0.02mmしかないの!ペーパーフラワーの紙より薄いのに破かない力加減でパッティングできる?
- 炎症や赤みの原因に
繰り返し叩くことで肌に微細な炎症が起こり、赤みやかゆみの原因となります。特に敏感肌の方は注意が必要です。

炎症が起きているところに刺激を与えるのは、百害あって一利なし!
シミ・シワのリスク
長期的な物理刺激は、メラノサイトを活性化させシミの原因になったり、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンを傷つけ、シワやたるみを引き起こすリスクを高めたりします。

特に肝斑なんて刺激厳禁!良かれと思ってパッティングした結果、肝斑を増やしてました、ってなりたくないでしょ?
肌の奥(真皮層)まで化粧水を届けたい、という気持ちはわかりますが、角層よりも内側に何でも浸透させないのが「角質層のバリア」です。
バリア機能が正常であれば、物理的な力(パッティング)で真皮まで浸透させるのは難しいです。
ちなみに、「化粧水はほとんど水?」が気になる方は、こちらの記事を読んでみてください!

美肌への近道!化粧水の効果を最大化する「ハンドプレス」
では、どうすれば化粧水の効果を最大限に引き出せるのでしょうか。
答えはとてもシンプル。手のひらで優しく包み込む「ハンドプレス」です。
正しいハンドプレスの方法
適量を手に取る
製品に記載されている推奨量を清潔な手のひらに取ります。量が少なすぎると、肌をこする原因になるので注意しましょう。中村シェルシュールの化粧水なら500円玉大、セラミド美容液なら1円玉大くらいです。
手のひらで温める
両手で化粧水を広げ、手のひらの体温で少し温めます。こうすることで、肌へのなじみが良くなります。顔全体を優しく包み込む
頬、おでこ、あご、といった広い部分から、顔全体を優しく包み込むように手のひらを密着させます。決してこすらず、「押さえる」イメージです。細かい部分も丁寧に
指の腹を使い、乾燥しやすい目元や、皮脂の出やすい小鼻の周りなど、細かい部分も丁寧に押さえてなじませます。浸透のサインを確認
手とお顔のお肌の間に、液がなくなってきたらOK、お顔の部位によっては浸透の仕方に差があるので、なじませてくださいね。
ハンドプレスのメリット
肌への刺激が最小限:摩擦や刺激を与えず、肌に優しく水分を届けられます。
ムラなく塗布できる:手のひら全体で顔の凹凸にフィットさせられます。
浸透をサポート:人肌のぬくもりが、角質層への水分のなじみを助けます。
肌状態をチェックできる:自分の手で肌に触れることで、その日のコンディション(乾燥、ごわつきなど)を把握しやすくなります。

中村も、肌や体の調子が悪い時に、
まとめ:叩くより、いたわって育む美肌
スキンケアの目的は、肌を健やかに保ち、美しく育むことです。
「化粧水は叩き込む」という迷信は、その目的とは逆行する行為でした。
大切なのは、肌に刺激を与えず、優しくいたわること。
今日からパッティングをやめて、あなたの手のぬくもりで肌を包み込む「ハンドプレス」を実践してみてください。肌はきっと、その優しさに応えてくれます。
正しいケアを続けて、潤いに満ちた健やかな美肌を目指しましょう。

じゃあ、パックはどうなの?と思ったあなた!こちらも読んでみてね!

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