
特に肌荒れしているわけじゃないのに、化粧水がしみる…

セーターが触れるだけで、首元がチクチク、ムズムズする…

理由もなく、肌がかゆくなったり、ヒリヒリしたりする…
敏感肌に悩む多くの方が、このような「見た目は何ともないのに、不快な感覚だけがある」という経験をお持ちではないでしょうか。
これまでは、その原因のほとんどが「肌のバリア機能の低下」によるものだと考えられてきました。

しかし最新の研究で、それだけでは説明できない不快感の正体が、肌の中にある「神経線維」にあることがわかってきたのです。
この記事では、あなたの肌で起きているかもしれない「知覚過敏」のメカニズムと、今日からできる正しいケアについて、医学博士が分かりやすく解説します。
「バリア機能の低下」だけじゃない!敏感肌の原因

まず、これまでの敏感肌の常識をおさらいしましょう。
私たちの肌の表面にある「角質層」は、レンガとセメントのように細胞が整然と並び、外部の刺激(ホコリ、紫外線、雑菌など)から肌を守り、内部の水分が逃げないようにする「バリア」の役割を担っています。
しかし、乾燥や摩擦、ストレスなどでこのバリア機能が乱れると、外部刺激が簡単に侵入しやすくなり、炎症やかぶれといった肌トラブルが起こりやすくなります。これが、従来の「敏感肌」の主な考え方でした。
ただ、この考え方だけでは「なぜ、見た目には問題がないのに、些細なことで不快感が生じるのか?」という疑問が残ります。
その答えの鍵を握るのが、「神経線維」だったのです。
新発見!敏感肌では「神経」が伸びすぎていた

私たちの肌には、熱さや痛みなどを脳に伝えるための「神経線維」が張り巡らされています。
- 健康な肌の場合
神経線維は、肌の奥深く(真皮層)に留まっています。まるで、家の壁の中にきちんと配線が収まっているような状態です。そのため、肌表面のちょっとした刺激は感じません。 - 敏感肌の場合
なんとこの神経線維が、肌の表面近く(角質層のすぐ下)まで異常に伸びてしまっていることが分かってきました。これは、壁の中にあるべき配線がむき出しになって、外気に触れているような状態です。

この「伸びすぎた神経」が、敏感肌特有の不快感の正体です。
本来なら感じ取るはずのない、ごくわずかな刺激、例えば、
- 化粧品の成分
- 衣服の摩擦
- 温度や湿度の変化
- 自分の髪の毛の接触
といったものにまで過剰に反応してしまい、「チクチク」「ヒリヒリ」「ムズムズ」「かゆみ」といった不快なシグナルを脳に送ってしまうのです。

お肌が極度に敏感な時は、風や、お風呂の水蒸気も刺激になることがあるんですよね;;

そう、それが「肌の知覚過敏」と呼ばれる状態です。
なぜ、神経は伸びてしまうのか?

なぜ神経線維は伸びてしまうのでしょうか。

その引き金は、やはり「バリア機能の低下」にあります。
- 肌のバリア機能が低下し、慢性的に外部からの刺激を受けやすい状態が続く。
- 肌内部で、刺激から身を守ろうとして、ごく微弱な炎症が絶えず起こる。
- この炎症が合図となり、神経を成長させる因子(NGFなど)が放出される。
- その結果、神経線維が「もっと情報をキャッチしなくては!」と勘違いして、肌表面に向かってどんどん伸びていってしまうのです。

つまり、「バリア機能の低下」が土台となり、その結果として「神経線維の異常な伸長」が起こり、ダブルパンチで肌を敏感にさせていた、というわけです。
「伸びすぎた神経」を落ち着かせるスキンケア
原因がわかれば、対策が見えてきます。これからの敏感肌ケアは、「バリア」と「神経」の両方にアプローチすることが大切です。
1.【最重要】徹底的な「守りの保湿」でバリアを再建する
神経が伸びる根本原因は、バリア機能の乱れです。まずは肌の守りを固め、「神経が伸びる必要のない環境」を作ってあげましょう。
- 保湿成分の王様「ヒト型セラミド」を補う。
- アミノ酸やPCAといったNMFなどで、蒸発しにくい水分「結合水」を作る
- スキンケアの最後は、ワセリンやクリームでしっかり蓋をして、水分蒸発を防ぐ。
知覚過敏状態の場合は、化粧水などの水っぽいものが刺激になることも。あまりにも刺激になる場合は「浸透させないケア=ワセリンで保護」をしてみて!

ただ、ワセリンだけだとお肌のバリア回復は完全に自分の治癒力次第になるから、敏感さの改善に時間がかかることも。お肌の状態が少しでも落ち着いたら、少しでもいいからヒト型セラミドやNMFを取り入れると、回復スピードが速くなる可能性があります!
2. 刺激を徹底的に避ける「引き算のケア」
むき出しになった神経を、これ以上興奮させないためのケアです。
- 物理的刺激を避ける:ゴシゴシ洗顔、叩くパッティング、タオルでの摩擦はNG。優しく「触れる」「押さえる」を徹底しましょう。
- 化学的刺激を避ける:スキンケアはとにかく成分が少なくシンプルなものを使うこと。「敏感肌用」「低刺激処方」と書かれたものを選ぶのもよいですね。肌が落ち着くまでは、アルコール、香料、着色料、植物エキス、精油、刺激の強い成分(高濃度のビタミンCやレチノールなど)が配合された化粧品は避けたほうが無難です。
植物エキスはいろいろな成分が含まれているので、何が反応してしまうか分からないため、基本的には避けた方が無難でしょう。

しかしDSRでは、事項でご紹介するように、お肌の敏感さを落ち着かせたり、炎症を抑える植物エキスを厳選して採用しています。お肌の状態に合わせてうまく取り入れることで、敏感さや炎症をスピーディに抑えることができると考えられます。
3. 「神経線維」に着目した最新ケアを取り入れる
最近では、この「神経線維」に直接アプローチする考え方の化粧品も登場しています。

特定の植物エキスなどが、神経の過剰な興奮を鎮めたり、神経線維が伸びるのを抑制したりする効果が期待されており、例えば、神経にアプローチできる成分として「ラベンダー花エキス」に注目しています。
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他にも、神経にアプローチする3つの方法と成分を、次回詳しくご紹介いたします。
いつものケアにプラスして、このような「神経に働きかける」ことを謳った美容液などを取り入れてみるのも一つの手です。
敏感さはどれくらいで治まるの?

神経にアプローチする成分を塗ったら、すぐに敏感さが治まるの?

早く治したいですよね…でも、お肌の敏感さを治すには、セラミド&神経ケアを地道に続ける必要があります。
軽い敏感さであれば、セラミド×神経ケアをしっかりして、睡眠や食事等の生活習慣も整えることで、1~2週間で治まることもあります。
ただ、よくお肌が揺らぐ方は、少なくとも1か月。慢性的に敏感な方は、数か月~年単位でコツコツケアを意識されることをおススメします。
敏感肌におススメの成分はこちらの記事も参考にしてみて!

反対に、避けて欲しい成分はこちらに!

まとめ:これからの敏感肌ケアは「バリア+神経線維」の二刀流で
長年悩まされてきた敏感肌の不快な感覚。その原因が「伸びすぎた神経」にあると知ることで、ケアの方向性が見えてきたのではないでしょうか。
大切なのは、肌が発する「チクチク」「ムズムズ」といった小さなSOSサインを見逃さないこと。それは、あなたの肌の神経が「刺激が多いよ!」「バリアが壊れているよ!」と教えてくれている証拠です。
徹底的に保湿して肌の守りを固め
刺激を避けて神経を休ませる
この「バリア」と「神経」へのダブルケアを心がけ、肌への究極の優しさを実践してみてください。きっとあなたの肌は、穏やかで健やかな状態を取り戻してくれるはずです。
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