
何をしても繰り返す、ヒリつき・かゆみ・赤み…

私の肌は、もうずっとこのままなの?
そんな風に諦めかけているあなたの敏感肌。その根本的な原因は、肌のうるおい不足やバリア機能の低下だけではなく、肌内部で「神経線維が暴走していること」にあるかもしれません。
最新の皮膚科学は、敏感肌のメカニズムを「神経」という観点から解き明かしつつあります。そして、その知見に基づいた画期的なスキンケアが登場しています。

この記事では、敏感肌の引き金となる「神経線維の異常伸長」を抑えるための、具体的な3つの科学的アプローチと、それに役立つ成分を、医学博士が詳しく解説します。
なぜ「神経」が肌荒れを引き起こすのか?
私たちの肌の内部には、無数の神経線維が張り巡らされています。通常、この神経は表皮の少し手前で止まっています。
しかし、紫外線や乾燥、ストレスなどの刺激が続くと、肌はパニック状態に。神経を伸ばすための指令物質「NGF(神経成長因子)」が過剰に分泌され、神経線維がアンテナのように表皮のすぐ近くまで異常に伸びてしまうのです。
感度の高すぎるアンテナが肌表面に近づくことで、普段なら気にならないような些細な刺激にも過剰に反応し、「かゆい!」「痛い!」といった不快なシグナルを脳に送り続けます。これが、敏感肌特有の不快感の正体です。
詳しいメカニズムはこちらの記事をご覧ください。


この「暴走する神経」を鎮める方法はあるんですか?

はい。その答えが、以下の3つのアプローチです。
敏感肌を鎮める3つの神経アプローチ
アプローチ1:神経の《アクセル》NGFを減らす
神経を異常に伸ばしてしまう直接的な原因物質が「NGF(神経成長因子)」です。これは、いわば神経を伸ばすための「アクセル」のようなもの。敏感肌では、このアクセルが常に踏み込まれ、神経が暴走している状態です。
そこで重要になるのが、NGFの産生そのものを抑制し、アクセルを緩めてあげるアプローチです。
NGFの過剰な分泌を抑えることで、神経線維が伸びすぎるのを未然に防ぎ、肌が刺激に対して過敏になるのを根本から食い止めます。
【代表的な成分】
グリチルリチン酸2K:甘草の根から抽出される成分。優れた抗炎症作用で知られていますが、近年の研究でNGFの産生を抑制する働きがあることも報告されています。肌荒れを防ぎながら、神経の暴走もケアする一石二鳥の成分です。

グリチルリチン酸2Kがなんか怖いなと思われる方は、この記事を読んでみてくださいね。

- ラベンダー花エキス:リラックス効果で知られるラベンダーですが、肌においてもNGFの産生を抑える働きが確認されています。香りの癒しだけでなく、科学的にも肌を穏やかに導いてくれます。

ラベンダーって塗ってよし、嗅いでよしの、すごい成分なんですね!

ラベンダー花エキスは精油ではないから、ほのかな香りなのも使いやすいわね。ただし、この神経に関する効果を期待して「精油」を直接肌に塗るのはお勧めできないわ。注意してね。
アプローチ2:神経の《ブレーキ》セマフォリン3Aを増やす
アクセルがあれば、当然「ブレーキ」も存在します。肌においてその役割を担うのが「セマフォリン3A」という物質です。
セマフォリン3Aは、神経線維に対して「これ以上、表皮の方へ伸びてくるな!」と命令を出し、その伸長を食い止める働きを持っています。健やかな肌では、このブレーキが適切に機能することで、神経は正しい位置に留まっています。
しかし、敏感肌ではこのブレーキ役であるセマフォリン3Aが不足しがち。そこで、セマフォリン3Aを増やしてブレーキをしっかり効かせることが、神経の暴走を止めるためのもう一つの鍵となります。
【代表的な成分】
ラベンダー花エキス、グリチルリチン酸2K:驚くことに、これらの成分はNGFを減らす(アクセルを緩める)だけでなく、セマフォリン3Aを増やす(ブレーキをかける)という、ダブルの働きを持つことが分かっています。多角的に神経にアプローチできる、非常に頼もしい成分と言えるでしょう。
アプローチ3:神経を《剪定・城壁》タイトジャンクションを強化する
ブレーキが効かずに伸びてしまっても…実は、伸びすぎた神経線維を剪定してくれる機能があるんです。それが、肌のバリア機能の最前線である「タイトジャンクション」です。
そもそもタイトジャンクションとは、表皮の最も外側にある角層の下で、細胞同士を隙間なく固く結びつけている「接着剤」のような構造です。いわば、外部刺激の侵入を防ぐ「城壁」の役割を果たしています。
しかも、タイトジャンクションは「守り」の役割だけでなく、過剰に伸びた神経線維を「剪定」する機能を持ち、バリアから神経線維が突出せずに内側に維持される、という研究結果が報告されています。
したがって、このタイトジャンクションを強化し、刺激の侵入を水際でブロックしつつ、過剰に伸びて来た神経線維を剪定することで、神経の暴走を効率的に抑えることができます。
【代表的な成分】
カルシウム:カルシウムイオンは、タイトジャンクションを構成するタンパク質を活性化させ、細胞同士の結合を強固にするために不可欠なミネラルです。スキンケアでカルシウムを補うことで、バリア機能の要である「城壁」を再建し、刺激に揺るがない強い肌の土台を築くことができます。

お肌の細胞の正常な成長を促し、

化粧品で配合されるときの成分としては「ホスホリルオリゴ糖Ca」と表示されています。

まとめ:これからの敏感肌ケア選び

これまでの敏感肌ケアは、保湿による「守り」が中心でした。しかしこれからは、肌内部の神経システムに働きかける「鎮静」と「立て直し」という、より根本的なアプローチも重要になります。

あなたのスキンケアを選ぶとき、ぜひ以下の3つの視点を取り入れてみてください。
アクセルを緩める
NGFを抑える成分(グリチルリチン酸2Kなど)は入っているか?ブレーキをかける
セマフォリン3Aを増やす成分(ラベンダー花エキスなど)は入っているか?剪定・城壁を固める
タイトジャンクションを強化する成分(カルシウムなど)は入っているか?
化粧品の成分表示や公式サイトをチェックして、これらのアプローチに基づいた製品を探してみましょう。

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繰り返す肌トラブルのループから抜け出し、穏やかで健やかな「本当に強い肌」を手に入れるために。神経科学に基づいた新しいスキンケアが、きっとあなたの力になってくれるはずです。

ヒト型セラミドによる「バリア機能を高めるスキンケア」を基本としながら、これらの「肌の神経システムのケア」も取り入れましょう。
それが、敏感肌脱出のためのポイントです。
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