お客様の許可を頂いた上で公開しております。
お客様からのご質問
プロパンジオール という成分がほとんどの化粧品の基材に使用されているのですが、プロパンジオールにこだわって使用する理由が何かあるのでしょうか??
基材にするならば、安全性の高いグリセリンやBGも選択肢にあると思うのですが.. 敏感肌用の製品を作ってらっしゃるシェルシュールさんが、プロパンジオールを選択する理由が知りたいです。
私が調べたところになってしまいますがプロパンジオールの安全性についてのデータがあまり出てきません。
長期使用した時のリスクはないのかなど気になります。
シェルシュールからのご回答
ご質問くださってありがとうございます。
同じように気になられているお客様もいらっしゃると思いますので、シェルシュールとしての考えを、開発者の高岡からご説明させて頂きます。
BG(及びPG)との比較
プロパンジオールの安全性の情報があまり出てこない理由
Cosmetic Ingredient Reviewでプロパンジオールは安全性が確認されていますし、原料メーカーからのデータでも、下記のような安全性が確認されています。
・皮膚への刺激なし
・眼の刺激なし
・皮膚感作を引き起こさない など
プロパンジオールについて「安全性の情報」
BG(1.3ブチレングリコール)やPG(プロピレングリコール)などでは多少はネガティブな情報もあるので同等かそれ以上の安全性はあると考えています。
化粧品成分オンラインでPGやBGのデータを比較しても、プロパンジオールが安全性で劣っているようには思えません。
また、プロパンジオールは、PGよりは刺激や炎症などの安全性は高いと評価されています。
15年間、お客様のお声に耳を傾けながら処方の改善をして来た結果です
BGも当然使用する候補となりますが、今までの経験上、BGよりもプロパンジオールのほうが刺激等が少ないと感じています。
無数の試作を重ね、お客様とのカウンセリングデータを踏まえた、経験による選択と言えるかと思います。
なお、現在使用しているBGはエキス等の成分の一部です(抽出溶剤、防腐剤として使用されています)。
エコの観点からも~プロパンジオールは植物由来(オーガニック)~
またプロパンジオールは植物由来(オーガニック)で一般的にBGは石油由来です。
エコの観点からもプロパンジオールを選択しています。
ただ最近では植物由来(オーガニック)のBGも出てきているので、使用は検討しています。
グリセリンとの比較
防腐剤の使用量を抑えながら安全な化粧品を作るために
プロパンジオールは保湿成分としての効果もありますが、パラベンやフェノキシエタノールを使用しない、もしくは使用量を減らす目的としても使用しています。
いくつかのジオールを併用することでも防腐力が上がります。
どれか一つに頼るのではなく、相乗効果を狙うことで、全体としての防腐剤の使用量を抑えることができ、刺激を抑えつつ、安全な化粧品を作ることができます。
グリセリンにはそのような効果はありません。
また、グリセリンはお肌に合わないというお声も頂いており、グリセリンフリーの商品も開発しております。
さらに刺激を抑えるための工夫を重ねています
また、一般的にジオールの場合、炭素数が多くなるほど抗菌性が高くなりますが、刺激や炎症などは多くなります。
プロパンジオール | 炭素数3 |
BG(1,3-ブチレングリコール) | 炭素数4 |
ペンチレングリコール | 炭素数5 |
1,2-ヘキサンジオール | 炭素数6 |
今までは防腐剤を使用せず防腐効果を狙うために1,2-ヘキサンジオールを使用していましたが、刺激もまれにありました。
※開発当初は、
今はエチルヘキシルグリセリンというものが出てきてこちらのほうが低濃度で効果的、刺激もほとんどない、ということで使用するようになっており、ヘキサンジオールは減らす方向で処方の改善を行っています。
プロパンジオールなどはその一環で、エチルヘキシルグリセリンと一緒に使うことで防腐効果を狙っています。
この使用量程度では、長期的に見ても、グリセリンやPGと比較して、安全性に問題がある可能性はほぼないと考えております。
敏感肌の方に安全性の高い商品をお届けするために
化粧品や成分については、いろいろなご意見をお持ちの方がいらっしゃると思います。
また、プロパンジオールについては、お客様のご指摘の通り(本当によくお調べになられてるのですね!)、そしてご説明した通り、データがあまり多くありません。
プロの方のご意見、お客様のご意見も、ひとりひとりお肌の状態や、感じ方、価値観等で、変わってくるかと思います。
今後も、お気づきの点、不安、疑問等ありましたら、是非お声をお寄せください!
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