界面活性剤はお肌に悪い、そんなイメージを持たれる方は多くいらっしゃると思います。
それは本当でしょうか?
今回は、敏感肌の研究を続ける医学博士が、化粧品に使われる界面活性剤の種類や特徴を説明し、その危険性や問題点を科学的に解説します。
界面活性剤とは
界面活性剤って何それ食べれるの?
界面活性剤は、水になじむ部分と、油になじむ部分を持った物質で、水と油という弾き合うものを、くっつけることができます。
この特異な性質を活かし、洗浄、乳化、可溶化、分散、起泡、消泡、殺菌など、その用途は多岐にわたっています。
界面活性剤は化粧品だけでなく、食品や工業製品にも広く使われています。
え?界面活性剤って食べられるの?
食品衛生法によって決められた界面活性剤(乳化剤)は、食品に添加することができ、アイスクリームやマヨネーズ等に入っていますよ!
界面活性剤の種類
界面活性剤には様々な種類があり、その化学構造や性質は千差万別です。
界面活性剤はイオン性で分類すると、陰イオン性、陽イオン性、両性、非イオン性の4種があります。
アニオン型(陰イオン)洗浄・可溶化・乳化補助
石鹸・シャンプー・洗顔料など
名前の最後に、~石けん、~硫酸ナトリウム、とつくもの
刺激は比較的弱い
カオチン型(陽イオン)柔軟・帯電防止・殺菌
リンス・トリートメント・制汗剤など
名前の最後に、~クロリド、~アンモニウム、とつくもの
刺激はやや強い
両性イオン型(アンホ)洗浄・乳化助剤
ベビー用品・高級シャンプー・リンスなど
名前の最後に、~ベタイン、とつくもの
刺激は弱い
ノニオン型(非イオン)乳化・可溶化
化粧水・乳液・クリームなど
名前の最後に、~グリセリル、~水添ヒマシ油、とつくもの
刺激はとても弱い
* 新化粧品学 第二版 参照
へぇ、石鹸も界面活性剤なんだね!
界面活性剤はお肌のバリアを壊す?
界面活性剤はお肌のバリアを壊すものだと思っている方は多いと思いますが、バリアを壊すのは一部の界面活性剤です。
その中でもお肌のバリアを壊すのは、主に洗浄に用いられる界面活性剤(洗浄剤)です。
洗浄剤としての界面活性剤
お肌の上にはメイクなどの化粧品や皮脂、古い角質、分泌された老廃物などの汚れがあり、それを洗い流すのが洗浄剤の役割です。
界面活性剤の、何とも結合していない部分が、皮脂やメイクなどの汚れとくっつき、水と混じって洗い流すことができるようになります。
石けんや合成の洗浄剤は、これらの油脂、タンパク質、紛体などの汚れを落とす力が強く、時としてお肌のバリア成分(角質層のセラミドなど)を溶出してしまいます。
角質層のセラミドも油溶性成分なので、汚れと同じように界面活性剤にくっつかれて洗い流され、お肌のバリアが壊れてしまうのです。
一方、界面活性剤はお肌のバリアを壊すものばかりではありません。
乳化剤としての界面活性剤
乳化に用いられる界面活性剤は脱脂力が弱く、洗浄力がないので、ほとんどバリアを壊しません。
また、乳液やクリームには予め油分とペアリングされて配合されているので、それ以上油分をお肌から奪うことができません。
ですから、乳液やクリームに入っている界面活性剤は、あまり気にしなくても大丈夫なんですよ。
こちらの記事↓では、界面活性剤の中でも、敏感肌の方に特に避けて頂きたいものを2種ご紹介しています。
界面活性剤の疑問
“合成”界面活性剤はダメ?
“天然”の成分は、なんとなくお肌に良い、マイルドな感じがするけど、“合成”は、なんかお肌に悪いような気がします。
そういうイメージをお持ちの方は、少なくないと思います。
合成だから、天然だから、という「由来」で、その成分の性質を判断するのは間違っています。
成分そのものを見て判断することが大切ですよ!
気になる方は、トコトン掘り下げたこちらの記事をご一読下さいませ。
界面活性剤は分解されずお肌に残る?
界面活性剤は分解されずにお肌に残って、バリアを壊し続けると思っていらっしゃる方も多いかと思います。
大昔の合成界面活性剤には、生分解性の悪いものがあり、環境的にも問題がありました。
しかし…現在化粧品で使用されている界面活性剤は、生分解性のあるものがほとんどですから、この点も心配される必要はないでしょう。
界面活性剤はお水で洗い流せる性質を持ち、きちんとすすげば肌に残りにくいので、そもそも心配する必要はあまりないですよ。
界面活性剤が肌バリアを作る?
セラミドというお肌のバリア成分は、化粧品に配合する際、ある種の界面活性剤が必要で、それがなければバリア構造(層状のラメラ構造)を形成することができず、その絶大な保湿力を発揮することができません。
つまり、バリア機能を作る界面活性剤があるんです!
全ての界面活性剤がお肌に悪さをするワケではないこと、一つ一つ判断する必要があること、覚えておいてください。
界面活性剤の刺激からお肌を守る方法
日々の洗顔やクレンジングで、お肌のバリアは少なからず失われて行きます。
しかし、洗浄せずに汚れを放置することは、お肌にとってお勧めできることではありません。
そこで、不要な汚れを落としながら、バリア機能を壊さないための、大切なポイントをご紹介します。
ダブル洗顔からの卒業!
クレンジングと洗顔、いわゆるダブル洗顔をしている方は要注意!
2度も界面活性剤によってお肌のうるおいを奪っている可能性があり、使用しているクレンジング剤や洗顔料によっては、お肌のバリアがかなり破壊されている可能性があります。
私がお勧めするのは、洗顔かクレンジング、どちらか1度で済ませること。
こうすることでお肌のバリア破壊が最小限に抑えられます。
クレンジングだけで済ませる場合は、必ず、洗顔もできるクレンジング剤を使うことがポイントです。汚れを残してしまってはお肌への負担が増えてしまい、老化や肌荒れの原因となってしまいます。
また、ミネラルメイクには石けんだけで落とせるものがありますので、クレンジングが必要なくなり、お肌のバリアの破壊を抑えることができるので、お肌の弱い方にはお勧めです。
洗顔料・クレンジング選びの基本原則
まずはこの原則を頭に置いて下さい。
濃いメイクをスルリと落とせるクレンジングは、肌への刺激も概ね高いです。
「良く落ちる」洗顔料やクレンジングは、バリア機能を壊しやすい可能性があると認識してください。
また、石けんは実は洗浄力が強い界面活性剤です。
オイルクレンジング
オイルクレンジングや油脂クレンジングは、メイク落ちがとても良いですよね。
その油分を落とすための界面活性剤が沢山配合されている場合、お肌への刺激も強くなりがちです。
一方、界面活性剤を配合していないものもあり、そういったものは低刺激で、お肌のバリア機能は壊しにくいです。
バリア機能を壊しにくい洗浄剤がある!
シェルシュールの洗顔料に使用している洗浄成分は、洗浄力がありつつも、バリア機能を低下させにくいものを選んでいるので、自信を持っておススメできます。
(ダブル洗顔不要)
夢のような洗浄成分「デシルグルコシド」については、こちらの記事をご覧ください。
洗顔「3つのコツ」を守る
1.洗顔時間を短くする
2.メイクに合わせた洗浄力のものを使う
3.お顔の部分によって洗浄強度を変える
お肌の上に界面活性剤が乗っている時間が長ければ長いほど、お肌のバリア機能を壊しすいので、短時間で終わらせましょう。
また、前述した通り、洗浄力が強ければ強いほど、お肌のバリア機能を壊しやすいですから、濃いメイクをしている日、石鹸で落ちる日焼け止めだけの日によって、使うクレンジングや洗顔料の強度を変えることも大切です。
また、落ちにくいポイントメイク部分と、ファンデーションだけの部分と、部分的に洗浄剤の強さを変えるのも、とても良いですね。
洗顔後すぐにバリア機能を補う
洗浄によってお肌のバリア機能が弱まることを意識して、洗浄後にバリア機能を高めるセラミドを補うなどのスキンケアを、しっかりすることが重要です。
界面活性剤まとめ
水と油をなじませる界面活性剤には、沢山の用途と種類があり、それぞれ、皮膚への刺激も大きく異なります。
クレンジングや洗顔料など、洗浄剤として配合されている場合、確かにお肌のバリア機能を壊し、刺激になります。
汚れはきちんと落として刺激を抑えるために、ダブル洗顔をやめる、むやみに洗浄力の高い洗顔料を使わない、すぐにセラミド等で保湿ケアをする等の対策をしましょう。
界面活性剤は、刺激になるものもあれば、保湿を助けてくれるものもあり、個別に見て行く必要があります。
界面活性剤が入っているからお肌に悪い、敏感肌には良くない、と避けてしまうと、良いスキンケア製品との出会いを逃してしまうかもしれませんよ。
洗顔・クレンジングでお困りの場合は、ぜひご相談ください。
スキンケアのプロが1人1人に合った洗顔料や洗い方をご提案させていただきます
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